はいこんにちは。
スキーもスノボもできないのに雪国に移住してしまった越智勇気(@otiotinetemoirarenai)です。
今回は、前回の記事で3番目に書いた冬の趣味、狩猟について書きたいと思います。
もう、夏に入ってきましたが…!狩猟始めたいな~という人の参考になれば幸いです。
※今回の記事ですが、獣・血・肉などの人によってはショッキングな写真や内容も入りますので、そういうのがだめな方は、ここで戻るボタンを押していただくようにお願いします。
(熊ひきの様子)
目次は以下のとおりです。
①まず、狩猟ってなんなの?
②私が狩猟を始めたわけ
きっかけ
栄村の特異性
③これから始めてみたい人のために
猟友会ってぶっちゃけどうなの?
資格ってどう取ればよいの?どれくらいお金がかかるの?
獣を狩るということ
目次にするとなんか多いですし、
モノ的に真面目な話になっちゃいますがとりあえず…。
①まず、狩猟ってなんなの?
「狩猟」をウィキペディアで引くと以下のとおりです。
狩猟(しゅりょう、英: hunting)とは、野生動物を捕獲する行為のことである。
捕獲後の目的(殺傷して利用、保護、タグ付けリリース)とは関係なく、捕獲行為を言う。
要するに獣を狩るということです。そのまんまですが…。
今の日本の中で獣を狩るには、「狩猟免許」をとり、鉄砲を使う場合は「銃砲所持許可」をとってから、「狩猟者登録」をする必要があります。
また、狩猟する期間も決まっていて、長野県であれば11月15日から2月15日までとなります。
ただし、市町村などの猟友会に入り、実績などが認められれば、それ以外の期間にも畑を荒らしたり、人的物的被害を出した獣を獲るための「有害駆除」の許可が出て、その範囲内で猟をすることが可能になります。
狩猟免許は、「網」「罠」「鉄砲」があって鉄砲も「空気銃」と「火薬銃」に分かれます。また、火薬銃も「散弾銃」と「ライフル」に更に分かれます。
何いってんだって感じですが正直そのあたり、初めての人は複雑なので、環境省の「狩猟ポータル」(https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/)を見てもらったり、
ちなみに網を使ってる人は栄村にはいません!超マニアックだけど鳥を網で捕まえるのは楽しそう。
(狩猟は冬がメイン)
②私が狩猟を始めたわけ
きっかけ
もともと狩猟をやろうかな~と思って栄村にきた。というわけではありません。
栄村ってこの次にも出てくるのですが、マタギの子孫がいるところです。
でも私はそういうことをつゆ知らず。
もともと民俗学とか文化人類学とか、文化について学ぶことを齧っていたのにもかかわらず全く知りませんでした。不勉強さがバレる…。
で、なんでやろうかと思っていたかというと、単純に、「獣を狩って、捌いて、自分で食べる技術を習得したい」というものでした。
日本の田舎のこととかを勉強するにつれ、やっぱり、食品として肉が切り身で売られている不誠実さや不確実さみたいなものが気になるようになったんですね。
なんで、僕はここで売られている肉がどのように生きてきたかしらないんだろう…と。
(とはいっても、栄村のお隣の津南町で売ってる津南ポークはめちゃくちゃ美味い
写真はXメルシーさとう@公式アカウントより引用)
そう思って色々と勉強をするようになりました。
栄村には超美味しいA5ランクの肉牛を生産している畜産家がいてそこの手伝いをさせてもらったり、
(こちらが深雪和牛の子牛。お肉はとても美味しい)
私福岡出身なんですが、
福岡は地域的に朝鮮半島との歴史が深いのでそこでおきた差別の問題も含め食肉処理場や、モツ鍋の歴史なんかも勉強したりしたこともきっかけではあります。
(モツ鍋美味しい)
まあ、何も考えないで始めたわけではないんですよ、ということです。(自衛も含めて)
栄村の特異性
で、栄村って面白いんですが、マタギがいる地域です。
昔、江戸時代に秋田からマタギがきて、居着いて村の人達にその技術、獣の採り方やさばき方、山への敬い、山の神様や考え方などを伝えて、今に至ります。
僕がとても好きなのが、マタギの技術を持った村の方は、獣を捌くのがとてもうまいんですよね。
というのも、例えば熊などは毛皮から、肉、血、骨、内蔵に至るまですべて敬って活用し、売ることもしていたそうなんです。
なので、肉には殆ど毛や汚れがつきませんし、毛皮もナイフで傷をつけちゃうということがほとんどない。
山に入るときの所作や、山の見方などもかっこよくて、ついていきたい!と押しかけ弟子に勝手になっています。
とはいっても、僕も色々とあって、免許を取って猟友会に入って8年目でようやく先輩方について行ける機会を得て、これからいろんな山を知れる入口にたったような感じです。
少し時間はかかるかもしれませんが、栄村に来るとそういったマタギの文化も学べるよということです。
(身体の線に沿って熊をさばく)
余談ではありますが、マタギ文化が残っていたせいか、山が家から近いせいか、栄村は周りの自治体に比べて狩猟者数が圧倒的に多かったようです。
今でも人口対比15倍ほどの飯山市の半分、20名ほどの狩猟者がいます。もうお亡くなりになってしまったのですが、少し前までは大日本猟友会の副会長をずっとやっていた方もいらっしゃいました。
若い世代がいないと技術も文化も引き継げないので、ぜひみんな狩猟やってほしい!
(モンスターハンターWILDSは2025年発売予定!みんな一狩り行こうぜ!
出典:モンスターハンター公式HP)
③これから始めてみたい人のために
猟友会ってぶっちゃけどうなの?
猟を始めたい人の1つの障害になっているのが「猟友会」かな、と思っています。
ネットだと、猟友会に入らないと猟に出させてもらえない、嫌がらせを受けた、おじいさんたちが怖いという話が続々出てくると思います。
実際嫌がらせ以外はだいたいホントなのですが、これ、自治体のシステム上の問題もあってこんな事になっています。
小難しい話ですが、栄村ですと猟友会は「栄村猟友会」に入り、上部団体の「北信猟友会」にも所属することになります。
その事務局を栄村猟友会は「栄村役場」、北信猟友会は「北信地域振興局(県庁の支所)」が持っており、狩猟免許の管理や、「有害駆除」の許可も同じ部署が管轄しています。
そして、栄村の場合、有害駆除をするには栄村猟友会に入り、かつ村または北信猟友会が主催する射撃大会に出場しなければなりません。
猟友会に入って活動する、ということが、狩猟者の人格と実績を判断する1つの指標になっているんですね。
また、保険の問題もあり、狩猟者は大日本猟友会が斡旋する「狩猟保険」に入ることになります。
危険なことをしているため、怪我をしたとき、事故があったとき、起こしてしまったとき他の保険だと対応ができません。
これまで基本的には地区の猟友会に入らないとその保険に入ることができませんでした。
今ではフリーの狩猟者たちが作った団体もあるので、どうしても猟友会に入りたくない!という人はそちらに入るということも可能です。
(例えば一般社団法人猟協があります。https://hunters-cooperative.jp/aboutus/)
もちろん、猟友会に入らなくても、狩猟期間は自由に猟ができます。
しかし、ここで問題になるのが、「土地勘」です。
猟をやろうと思っても、素人が1人で知らない山に入って、獣のいる場所を特定する、なんてことはよっぽど才能がないと基本的にできません。
また、獣に見つかりづらい歩き方、必要な物品を揃えることなんてこともやっぱり教えてくれる人がいたほうが覚えが早いです。
あとは、最近は狩猟者が減ってきたので結構なあなあですが地区の狩猟者ごとに縄張りを持っている、なんてこともあります。基本的に山は誰かの土地ですしね。
そんなこんなで、まあどちらかといえば、猟友会に入って地元の人と仲良くするのがメリットが大きいかなあ。といった感じです。
移住に関した人付き合いでもそうですけど、過度に気負う必要はないですが、信頼の築けるコミュニケーションをとるのは大事かな~と思います。
真面目な話でしたが、いうて、猟友会に入って、役員やったり、仕事やすんでお付き合いしたり、ゴタゴタに巻き込まれて狩猟初めて3年ほどは誰も山に連れて行ってくれない、なんてこともありました。面倒くさい部分はめんどくさいっす。
(とりあえずコーヒーでものんで落ち着こう)
資格ってどう取ればよいの?どれくらいお金がかかるの?
栄村の場合諸々の資格を取るには今ならまず栄村役場の農政課に相談に行くといいです。
講習なんかを受けられる日付が年間で2~3日しかなかったりもするので、そういったこと色々と教えてくれますし、栄村は狩猟免許と、銃砲所持許可の取得にかかるお金を半額補助してくれます。
鉄砲と罠免許と銃砲所持許可の免許申請諸々で3万円ほどなので、1万5千円は補助してくれます。お得!
あとは、鉄砲はピンキリですが、一番安くて5万円、銃のロッカーと銃弾ロッカーがうまく行けば無料ですが、概ねそれも5万円程度、あとは、最初の試験の弾代で2万円程度ですかね。最低15万見ていればまあなんとか行けるかな~という感じです。
あ!あと毎年、有害駆除の許可が取れるまでは狩猟税プラス保険代で3万5千円ぐらい取られます。これが一番きつい!
趣味と思ってがんばってください。
(狩猟税やべーんすわ)
あとは、勉強ですが、狩猟免許のほうは、県主催の講習を受けて、テキストをもらって自主勉強です。
長野県は狩猟者を増やしたいので、めちゃくちゃ丁寧に色々と教えてくれます。
免許試験当日は鉄砲なら鉄砲の組み立て方と持ち方、構え方、罠は罠の組み立て方を実地試験しますが、レプリカを触って練習ができるのが県の講習会しかないのであとはイメトレに頼ることになります。
特に銃は人に銃口を向けると一発アウトなので、ドキドキします。
あとは、鉄砲・罠とも狩猟鳥獣判別テストがあります。罠でしか採っちゃいけない獣、有害駆除でしか採っちゃいけない獣などいて、絵を見せられて名前を答える形式なので、これが一番勉強したかな。
1週間くらい獣の名前を唱え続けました(笑)ペーパーの試験問題自体は過去問何度か解けば大丈夫かなと言う感じです。
そして、鉄砲の所持許可の試験のほうが曲者です。
僕のときは講習を受けて、その内容を最後にテストする、といったものでしたが、1問1点の50問、45点以上が合格でした。
警察は鉄砲の所持は市民の安全のためになるべくさせたくないので引っ掛けも多く結構落ちます。
でも警視庁からここがポイントだよ、というのが出ているので、そこを押さえていれば大丈夫かな~と思います。
警察に申請に行ったときにテキストもらえるので、それから暇があれば読み込むぐらいで良かったと思います。僕確か45点のギリギリでしたが…。
(警視庁の通達
まあ、どちらも試験なので普通に落ちる人は落ちるので頑張ってください。
村の中にもホントは狩猟やりたいけど、試験に受からなくて諦めた、という方もいます。
(実はニホンザルは非狩猟鳥獣で有害駆除だけで獲ることが可能。結構被害が大きいんですけどね。)
獣を狩るということ
最後に、獣を狩る、ということはやっぱり命を奪うことです。
どんなに農作物に被害を出していたり、人を怪我させたりしていても、命です。
その世界の中では、優劣はなく、山や生命そのものを敬うことから始まると思っています。
また、獣を追って山に入ることは自らの命を危険にさらします。
崖や土砂崩れ、雪崩もありますし、不意に獣に襲われること、身体に不調をきたし遭難することもあります。
栄村のような田舎では人より自然のほうが強いです。
自分がこれまで都市で経験してきた価値観や考え方、町や村の成り立ちに関する知識がほぼ役に立たないということを前提に、獣と、そして自然と、いつでも命のやり取りをしているのだという気持ちを忘れないように、私は行動をしているつもりです。
このあたりの考え方は人にもよるのかな、とも思いますが、上に書かせてもらった事も含めて、これからの参考にしてもらえれば幸いです。
なんかだいぶ真面目になっちゃいましたが、狩猟ライフ、楽しいよ。
冬の過ごし方にも書いたみたいに、雪原歩くのすっごくいいし。雪の上で同行してる人たちと食べるおにぎりなんかもめっちゃ美味しいです。
書ききれない面白いこと、いっぱいあるのでぜひ一度きてみてくださーい!
(山の中みんなで食べるおにぎりは美味しい)
Comments